de:code 2019に行ってきました

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こんにちは、オープンエイトでインフラ全般を担当している武田です。オープンエイトではサービス全般をクラウドサービスで実現していることから、AmazonAWSマイクロソフトのAzure・GoogleGCPといたメジャーなクラウドサービス、akamaiCDNサービスといった特化型のサービスなど数多くのサービスなど扱っています。インフラ担当とは、それらクラウドサービスの設計・構築・運用(つまり全て)を行っています。その関係から、各企業とはお付き合いがあり、この度日本マイクロソフトよりde:code2019へのお誘いがありましたので、参加してまいりました。

今回のテックブログでは少し遅くなってしまいましたが、de:code2019の基調講演の様子をご紹介したいと思います。当日行くことが出来なかった方も、会場の雰囲気を感じていただければと思います。

マイクロソフトのde:codeとは

de:codeとは、マイクロソフトが開催するITに携わるすべてのエンジニアを対象としたテクニカルカンファレスとなり、2014年より毎年開催されています。de:codeでは、先んじて行われた米国サンフランシスコで開催される開発者向けカンファレンス「Build」の内容を凝縮したカンファレンスから、日本向けのオリジナルコンテンツを盛り込んだセッションなどを2日間に渡って行われます。今年は5月29日から30日の2日間にわたり開催され、5月29日の午前中に上級役員による基調講演、午後から30日にかけては180を超えるセッションが会場の複数の会議室で行われました。また、Expoエリアでは協賛企業による製品の展示から、体験型のイベントなども行われていました。

会場となるのはザ・プリンス パークタワー東京です。

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当日は雨が降る中でしたが、会場は参加した方でいっぱいでした。特に基調講演については、開始が9時半からであるにも関わらず、9時の段階で満席となってしまいました。私自身も9時前には会場に着きましたが、すでに会場の中央部は満席で会場の端になってしまいました。

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そこからも、注目度がうかがえます。

de:code2019の基調講演では、マイクロソフトが注力していることや未来について、また最新のサービスの動向などについて以下の方が講演を行いました。

見ていただいてわかるかと思いますが、日本マイクロソフト株式会社の平野 拓也氏以外はすべてマイクロソフトの上級役員です。講演は平野 拓也氏以外はすべて英語で行われるため、会場では同時通訳を聞ける機械が配られていました。また、会場に設置された大型のスクリーンには同時に字幕も流れていました。

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平野 拓也氏の講演

平野 拓也氏は日本マイクロソフト株式会社の現代表取締役社長となります。

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座った席が遠くからなので、本人は小さいですね。

平野 拓也氏は2015年7月より日本マイクロソフト代表取締役社長*1に就任し、現在日本マイクロソフトの舵取りを行っている方になります。

平野 拓也氏からは現在のマイクロソフトが向かっている方向性について紹介がありました。

説明の冒頭では、AzureのAIを利用した具体的な事例として、阿修羅像の年齢推定の取り組みについてのお話を聞けました。世界ではAIの開発が盛んに行われており、マイクロソフトとしてもAI基盤は注力していることのアピールとして、講演の冒頭に印象深い話を持ってきたのではないでしょうか。AIについては、機械学習が主流であり、いかに学習を積み重ねるかが、精度に影響します。どの企業も学習の素材について苦労している現状であるなか、マイクロソフトの取り組みは大きな企業ならではと感じました。

続いて、マイクロソフトとしては、Microsoft Azure・Microsoft 365・Microsoft Dynamics 365 & PowerPlatform・Microsoft Gamingの4つのクラウドプラットフォームに注力していくこと、また各企業との提携についてお話がありました。

馴染みの深い内容としては、Sonyとの戦略的提携が一つあげられます。

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マイクロソフトが今後注力していくプラットフォームにMicrosoft Gamingがあり、その延長線上の取り組みの一つと考えられますが、マイクロソフトSonyは現在もコンソールゲームの分野ではXbox360PlayStation4で競う仲ではあります。ただし、現在のコンソールゲームについては、インターネットを経由したサービスは必須であり、またこれから先の未来においてもゲームの主戦場がコンソールであり続ける保証はなく、モバイルもしくは新たなプラットフォームに移る可能性もあります。くしくも先日Googleが新ゲームサービスである「Stadia」を発表したこともあり、ゲーム業界は再び群雄割拠の時代に突入する予感があります。現在コンソールゲーム業界の巨人2社が提携するに至ったのは、これからの未来を鑑みると必然であるのかもしれません。

他にはIoTを利用した企業の発表などが続き、平野 拓也氏の講演は終わりました。

ジャレッド スパタロウ氏の講演

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続きまして、ジャレッド スパタロウ氏の講演ではMicrosoft 365・Microsoft Graph・Microsoft Windows Subsystem for Linux 2(WLLS2)の紹介がありました。マイクロソフトと言うと少し前まではOSの会社、更に言えばクライアントサイドで頂点にまで上り詰めたといったイメージが強いですが、ジャレッド スパタロウ氏が冒頭で、今後のITは人を中心としたあり方に変わっていく、マイクロソフトのサービスはそれらを変えていけると力強く述べていました。実際、Microsoft 365のデモでは、今までGoogleなどが先行していたと思われる共同作業やサービス連携などが、違和感なく実現できていると感じました。さらに、今までクライアントサイドとして強みを発揮していたOfficeの操作性・表現力も兼ね備えたサービスとなっているのは、今後の可能性を感じるものでした。

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ただ、私自身として印象深かったのはWindows TerminalとMicrosoft Windows Subsystem for Linux 2(WLLS2)の紹介でした。現在において、サービスの基盤はLinuxの割合が多く、長らくWindowsでの開発ではサーバを立ち上げ、Tera Termなどのターミナルソフトを入れて開発・構築を行うことが常でした。WindowsOSの成り立ち上その形態は致し方ないと感じていましたが、今後は大きく変わっていくものと思います。Windows Terminalのデモで表示された絵文字を使ったロゴを見て、Windows3.1を思い出してしまった事に自身の歳を感じる事と、現在GitHubマイクロソフトの一員とはいえ、オープソースコニュニティから提供を行うこと自体が、時代の流れを感じさせます。

ジュリア ホワイト氏の講演

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ジュリア ホワイト氏の講演では、主にMicrosoft Azureの最新トピックが紹介されました。現在においても日々新しいサービスが追加されていくAzureですが、その中でもAzure DevOpsの機能強化・各サービスとの連携に重点をおいた紹介がありました。開発側としては新たに発表されたブラウザベースの開発支援ツールVisual Studio OnlineやVisual Studio2019・VS Codeなどとの連携も強化されることは注目すべきところだと思います。また、注目のトピックとしてはデータベース周りについて、「Azure SQL Database Hyperscale」、「Azure Database for PostgreSQL Hyperscale」、「Azure SQL Database サーバーレス」、「Azure SQL Database Edge」の紹介がありました。今まで、マイクロソフトと言えばMSsqlserverのイメージが強かった(当たり前ですが)のですが、PostgerSQLをサービスのラインナップとして入れること自体驚きがあります。

アレックス キップマン氏の講演

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アレックス キップマン氏の講演では、最新のHoloLens 2についてデモを交えて紹介されました。HoloLensについて興味のある方であればご存知の方も多いと思いますが、アレックス キップマン氏はHoloLensの生みの親であります。そのため、思い入れも強くあると思われ、講演には非常に熱がこもっていることが、聞いている側からもわかりました。講演の前半ではHoloLens 2については基本的な機能の強化に加えて、装着性の快適さを向上するための工夫を凝らした事を強調されていました。

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注目すべきは内容としては、講演の後半に行われたHoloLens 2のでデモです。アレックス キップマン氏自身がHoloLens 2を装着して、MRにて自身のアバターを映し出して戦わせるなど、見る側としても非常に楽しいものでした。しかし、私としてはアレックス キップマン氏が装着したHoloLens 2以外のカメラで会場に向けにMRの映像を同時に異なった角度から見えるデモから、単体としての機能より、HoloLens 2を装着した複数の者が同じものを見て共同作業ができる事を強くイメージできました。

最後に

基調講演は予定の時間を大幅に超えて3時間にもなりました。今回はそのほんの一部の紹介となりますが、内容としては非常に密度が濃く、興味深い内容に溢れていました。また、基調講演の他にも180のセッションが行われており、その中には企業での実例に基づいた発表であったり、マイクロソフトの方が最新サービスの詳細を説明していただけるセッション、さらに最新のサービスを体験できるワークショップなど、多種多様なセッションが開かれていました。また、無料でも参加できるEXPOでも各企業の展示を見ることができます。その中にはHoloLens 2を利用した業務効率化の事例を体験できるなど、楽しめる内容がたくさんありました。次回は来年の開催となりますが、興味があれば参加して見てはいかがでしょうか。

また、基調講演については現在もYouTubeで公開されています。マイクロソフトのサイトにリンクがありますので、興味のある方は一度ご覧になってください。

www.microsoft.com

*1:2019年7月3日にて、8月31日付けで日本マイクロソフト株式会社の代表取締役社長を退任し、9月1日付けで米本社であるマイクロソフト コープレーションのバイスプレジデントに就任することが発表されました。